祭りの賑わい

「お祭り」と聞くと皆さんはどんな風景を想像しますか。

綿飴に、金魚すくい、打ち上げ花火だったり夏の夜の一場面を思い浮かべる人も多いのではないかと思います。

僕の通っている村でお祭りと呼ばれている行事は春にあります。

毎年ゴールデンウィークの時期に春祭りと呼ばれる獅子舞を奉納するお祭りがあります。

その村ではまだ少し雪が残っていて、東京より一足遅く桜が見頃を迎えています。長かった冬の終わりと新緑の訪れを感じられる季節です。




そのお祭りにはあの夏祭りのような風景はありません。

夏の夜の匂いも、ちょっと青春ちっくなムードもありません。

けれど、お祭りを楽しみにしている人達が村外、県外からも駆けつけます。

村に住む人の中には「1年がこの祭りのためにある。」と言う人もいます。

そこにあるのは独特の緊張感と一体感と賑わいです。

独特の緊張感

正装をした男性がずらっと畳の上に並び、少し空気が張り詰めます。静寂の後に挨拶があり、今年も祭りは始まります。

お宮に向かい、そこで五穀豊穣を祈念して獅子舞を奉納します。

さっきまで冗談ばかり言っていたおじさんが「イベントで何百人のお客さんの前でやるより、お宮さんでやる時が一番緊張する」と真面目な顔で話してくれます。

そこに参加する人達の真剣な顔がお祭りにはあって、それが独特の緊張感を生み出しています。

一体感

村の地区それぞれに獅子舞があります。皆さんそれぞれ自分の地区の獅子舞に誇りがあります。

お祭りの中に混ぜてもらうと自分もその一員にしてもらえたような気がして、何だか嬉しい気持ちになります。ふと気づくと自分が参加した地区の獅子舞の魅力を他の地区に参加した人に語っていたりします。

些細なことでも自分がやっていることが祭りの一部分になっていて、その集合体には一体感があります。

賑わい 

祭りには人が集まります。
人数の大小に関わらず、人が集まっているとそこにはエネルギーがあります。これは人が当たり前にいる場所では感じにくいのですが、人が少なくなった場所では強く感じます。

但し、人が集まっているだけでは賑わいません。
そこにいる人たちが心底その場を楽しめていて初めて賑わいます。
祭りを心底楽しんでいる人を見て、僕も気づけば心底楽しい気持ちになっています。僕はそんなお祭りが好きで、気がつけば今年で4回目の参加でした。ゴールデンウィークにわざわざ他の予定を入れようとは思いません

東京で一足先に桜が咲けば、桜吹雪の中で獅子が舞う様子を思い浮かべ、また来年も春祭りに向かうのだろうと思います。

 写真や動画は利賀を愛する方々が作成されたものをあちら、こちらからお借りしています。

 エピソードと写真や動画は必ずしも結びついていません。


 ここに記載されていることは都会から利賀に通っている一人の若者が勝手に感じたことです。

 利賀の獅子舞を一括りにすることはできず、一人一人に思い入れがあります。

山田 将太郎

シェアボタン

いいね!